天なびコラム

第6253話

2017年12月10日

アルベド違い

太陽のエネルギーは、降り注いだ分全てが大気や地面に吸収される訳ではなく、一部は反射されて宇宙へと戻されます。
この性質が案外重要で、天文や気象の分野では、入射したエネルギーと反射されたエネルギーの比を表した値が存在します。

その名は、アルベド。

狭い範囲で考えることもありますが、ある惑星全体の平均的な反射率として算出されることも多いです。
人間が太陽光を浴びると暖かく感じるのと同じように、惑星も太陽からの強いエネルギーによって温められます。
つまり、エネルギーの吸収量が多いほど、惑星自体が温まりやすくなります。
アルベドは惑星のおおよその温度を決める目安になるのです。

惑星のアルベドは、地表面の状態や大気の量によって大きく左右されます。
例えば雪に覆われた所ではエネルギーの大部分が反射されますが、地面があらわになっていると反射の割合は下がります。
また、直進してきた太陽光が通る大気が多い(厚い)ほど、一般にアルベドは大きくなります。
こういった条件を加味した結果算出された地球の平均的なアルベドは、およそ0.3。
地球へ注がれた太陽光のうち、3割は宇宙へ返されるということです。

と、ここまでは地学のお勉強のようなお話でしたが、アルベドで検索すると予想外のモノが出てきました。
検索結果や関連ワードに「みかん」の文字が。
みかん??とそのまま調査を続行した所、みかんなどの柑橘類の表面にびっしり付いている白い物体がアルベドなのだとか。
え、あの、取るか取らないかで論争になるアレ!?と思ったのですが、厳密に言うとスジの部分は維管束という栄養を運ぶ役割のものだそう。
どうやらオレンジ色の皮の裏側にあるモコモコの部分を指すようですが、スジも含めてアルベドと呼ばれることもあるみたいです。
人間にとっても嬉しい栄養が豊富で、取り除かない方が本当は良いとのこと。
これからの季節はみかんが食べたくなりますが、食感と栄養のどちらを選ぶか、今年も葛藤することになりそうです。

季節の食材から太陽との意外な繋がりを見付け、日光浴のようにちょっとほっこりした次第です。


執筆者:そふぃー