天なびコラム

第6596話

2018年11月18日

規制強化 大雪時のタイヤチェーン義務化について

今年は季節の進みが遅く、なかなか初雪の便りがありませんでしたが、ようやく、北海道の旭川などで11月14日に初雪を観測しました。私は仕事で日本海側に滞在しているのですが、北よりの風が強く「時雨」となる日が多くなっています。「時雨」とは、晩秋から初冬にかけて、一時的に降ったり止んだりする雨のことで、この時期の季語にもなっています。季節が進むと時雨に雪が交じるようになり、やがて本格的な冬の到来となります。

さて、雪の話になりましたが、先日、国土交通省が、大雪時に立ち往生が懸念される高速道路や国道の区間で、タイヤチェーンの装着をこの冬から義務化すると発表しました。冬用タイヤ装着車にもチェーンの装着を求める方向です。
対象は雪国が中心で、昨年2月に大規模な立ち往生が発生した福井県内の国道8号線などを想定してるようです。

福井の立ち往生は、北陸自動車道が大雪で通行止めになり、国道8号線に交通量が集中していたタイミングで、チェーンをしていないトラックが雪でスタックして道を塞いだことが原因といわれています。続く車も激しく降り続ける雪に次々と埋まり、大規模な立ち往生となりました。車がいるため除雪作業もスムーズに進まず、巻き込まれた車は約1500台、収束までに60時間以上を要しました。

冬用タイヤを装備しているのに、チェーンの装着を義務付けるのは行き過ぎであるという声も聞かれますが、対象はあくまでも、「警報レベルの大雪の際に、立ち往生が懸念される高速道路や国道の区間」に限られています。冬季期間中常時ではありません。したがって、そのような状況でタイヤチェーンを装備できない車は外出を自粛してもらい、交通量を抑制するという意味でも、効果があるのではないでしょうか。

雪国の対策も重要ですが、普段雪が降らない首都圏など都市部で、数センチの雪が降るだけで大混乱となっている状況も気になります。あまり知られていないようですが、沖縄県を除く全国の都道府県の法令で、雪道をノーマルタイヤで走行しないよう定められています。

例えば、東京都の場合は、

「東京都道路交通規則 第8条第6号 積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転するときは、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること。」

となっています。違反した場合の反則金は普通車で6000円です。

しかし、それでも都市部ではノーマルタイヤで雪道を走行したことによる事故がなくなりません。

めったに雪が降らない地域では、スタッドレスタイヤを購入する費用と手間が見合わず、装備していない人も多いのが現状です。

最近は雪道でも走れるオールシーズンタイヤなるものが各社から発売されています。一方で、自動車のCMでは、最先端の技術を駆使して、安全運転を支援する「先進安全自動車」がアピールされ、先進安全装備が標準装備される車も増えています。私としては安全は足元からということで、雪道でも走れるオールシーズンタイヤも標準装備に含める方向に進まないかなと思っています。大雪の際の首都圏の交通麻痺も多少は改善すると思います。


執筆者:ドローン