天なびコラム

第6661話

2019年01月22日

空よりも青く

犬の側がどう思っているかはさておき、少なくとも飼い主のほうは、いつも同じような散歩コースでは飽きてしまうわけです。そこで晴れた週末には、車に乗せて少し離れた公園に連れ出したりします。人間の身勝手かもしれませんが、犬もまんざらではないようで、普段よりも機嫌よく歩いてくれます。

先日は淀川の河川敷に出かけました。堤防の内側で、増水した時にその水を受け止める空間なのですが、遊歩道や広場が整備されており、普段は公園として利用することができます。うれしいのは空が広いことです。狭い土地に建物がひしめき合う大阪で、最も空が広く見える場所の一つではないかと思います。

緩やかな傾斜の堤防を上ると、背の高い茂みの向こうに川面が姿を現しました。その色は目を疑うほどに鮮やかなコバルトブルー。最下流の穏やかな流れの上で、儚げに薄い冬の青空と、対岸に並び立つビルの影が混じり合い、なんとも深い色彩が作り出されていました。

この日は風も弱く、柔らかな日差しが降り注ぎ、真冬なのに小春日和のようでした。しばらく前まで雪国に帰省していた私にとっては、そんな天気も、川面の深い青色も、どうにも現実感に乏しくて、まるで不思議の世界に迷い込んだような感覚になったのでした。


執筆者:ヒョウタン