天なびコラム

第6780話

2019年05月21日

野球、サッカー、天気予報

聞いた話によりますと、「すぐに野球に例えてしまうのはおじさんの悪い癖で、実は若い人にはあまり伝わっていない」のだそうです。なんということでしょう。私も、「雨の予報は空振りだった」のように、ごく普通に野球の例えを使っています。こちらは自分で考えたわけではなく、おそらく業界用語だと思いますので、気象業界全体が「おじさん化」しているのかもしれません。

これでは自分も気象業界の先も思いやられますので、サッカーの例えを天気予報に使えないか考えてみました。これが予想以上に難しかったのですが、ようやく捻り出したのがこちらです。「3ヶ月予報の『平年並み』、『平年より高い(多い)』、『平年より低い(少ない)』は、サッカーの勝ち点によく似ている」。

具体例でご説明しましょう。例えば、気温が「平年並みか平年より高い」という予報であれば、引き分け(勝ち点1)か勝利(勝ち点3)、つまり「最低でも勝ち点1」という予想です。重要なのは、点差や試合展開にはいっさい触れていない、ということです。大差での勝利の可能性もありますし、圧倒的に攻め込まれる時間帯があるかもしれません。3ヶ月予報も同様で、「猛暑になるか」や「寒暖の差が激しいか」までは予想していないのです。

いかがでしょうか。できるなら「今日の予報はオフサイドだった」くらいの切れ味が欲しかったのですが、力及ばずでした。ただ今回思ったのですが、「降水確率」という曖昧な予報が受け入れられているのは、国民的スポーツだった野球に「打率」があったからかもしれませんね。同じ予報でも、時代が変われば、伝わりやすい表現方法は変わっていきそうです。


執筆者:ヒョウタン