天なびコラム

第6900話

2019年09月18日

小柄の悲劇

私の身長は、日本人の平均よりもかなり低いです。
幼稚園児の頃から大学時代まで、どんなに進級しても常に下から5番目以内を保っていました。
身長だけでなく手足も小さく、その小ささにこれまでも多くの人に驚かれてきました。

小さめの靴が早々に売り切れて買えなかったり、1オクターブ以上を押さえられず弾けないピアノの曲が出てきたり、傘の位置が周囲より1段低く知らず知らずのうちに雫を周りに振り撒いていたり。
正直な所コンプレックスでしかないですが、小さくて得したことも多少はあります。
昔から手先が割と器用で、工作や細かい作業が大好きな自分。
ペーパークラフトとかアクセサリー作りとか、稀に指先程度しかないサイズのパーツが出てくることもあります。
こういった工作をしていると、もしかしたら元々手が小さいから緻密な作業に向いていたのかも?とも思えてきます。

小さいが故の悲劇も当然あります。
大学通学中のある日、満員電車に乗ると、私の近くに立った男性は鞄を胸の辺りで抱えていました。
人ごみに紛れてなくなるのを防ぎたかったのか、はたまた痴漢に間違われないための対策なのか分かりませんが、これが私にとっては裏目に出ました。

抱えられた鞄は、私の目の前の、胸元から顔の辺りを陣取られました。
それが電車の揺れに乗じて、ガンガンと直撃してくるのです。
この時男性が所持していた鞄は、ある程度のサイズがあるしっかりしたタイプ。
しかも、よりによって胸元に当たっているのは1番硬いであろう鞄の角。
超満員で身動きは取れず、顔は鞄で覆われて呼吸もまともにできず、それでいて胸元は激痛…これは最早生き地獄。
結局この状態で10分少々耐えることになり、降りた時には首の下が真っ赤になっていました。

貰えるのであれば今からでも10pぐらい身長が欲しいですが、背の高い人から不便な話を聞くこともあります。
結局は一長一短でしょうか。
もうこれ以上身長も手足も伸びることはないので、小さい世界と上手く付き合っていきます。


執筆者:そふぃー