天なびコラム

第7191話

2020年07月05日

インドの夏と日本の夏

もうずいぶん前のことですが、ちょうど今頃の時季にインド南部に行ったことがありました。「インドの季節は“Hot, Hotter, Hottest”の3つだ」というようなジョークをどこかで見かけ、不安を抱えながらの出発でした。
実際インドに着いてみると、空気が重く感じるような蒸し暑さでした。しかも夕方や夜になってもあまり気温が下がらず、なかなか苦戦しました。せめて水で首筋を冷やそうと何度もしていた覚えがあります。
6月から7月は、雨季がはじまりつつあるタイミングでもありました。1日に1時間ほど、突然ザーッと強い雨が降ります。最初から最後まで勢いが強いところが、日本の夕立とは少し違う印象でした。

その後、日本に帰ってきて驚きました。気温は日本の方が低いはずなのに、体感では日本の方が暑かったからです。原因はコンクリートやアスファルトの照り返しでした。考えてみるとインドは建物の間隔が広く、道があまり舗装されていなかったので、照り返しが少なかったのでしょう。

日本は建物の中に入ればだいたい空調が効いているし、冷たい飲み物も自販機やコンビニですぐ手に入ります。その意味では快適なのですが、生活環境全体で見れば犠牲にしているものもあるのでは、と思わされました。


執筆者:北大路