天なびコラム

第7300話

2020年10月22日

身に入む

10月も下旬。薄着だと肌寒く感じる日も多くなりました。明日は二十四節気の「霜降」。もう冬隣です。
さて、みなさんは秋の冷たい空気を肌で感じると体に入りこんでくるような気がしませんか。そんな様子をあらわした秋の季語に「身に入む(しむ)」があります。「身にしみてわかる」とよく使われるように「痛切に感じる」ことを意味しますが、もとは心身に秋を深く感じ入ることを指します。
紅葉を見れば目を、栗や柿を味わえば舌を通して秋が心の中に入ってきますが、少し肌寒く感じる晩秋の空気は肌を通じて心身に入ってきます。同じような気温でも気が体から発散する春と大きく違うところです。冷たい空気が身に入むことで心が「凛」とすることは気持ちが良いですが、あまりしみ込ませると体の中から寒気(さむけ)に襲われます。
今日は広い範囲で雨になる模様。雨水が身体にしみるといっそう冷えますので体調を崩さないように秋をお楽しみください。

執筆者:西