天なびコラム

第7613話

2021年08月31日

極寒の海を泳ぐ

皆さんはルイス・ピュー(Lewis Pugh)という人物をご存じですか。
彼は世界中の海を泳いだことのあるスイマーで、この“世界中”の中にはなんと南極や北極の海も含まれています。2020年1月には南極氷床の下を泳いだ初めての人物として、ギネス世界記録にも認定されています。そんな彼が今月下旬、10日間の準備期間を経て、グリーンランドのイルリサットフィヨルドの海を泳ぎ始めるというニュースが、先日私の目に飛び込んできました。

衝撃だったのは、彼が過去に極域の氷を背景に泳いでいる写真で、上半身が裸であったことです。青く美しい氷河の組み合わせとしてなかなか見ないものだけに、非常に興味が掻き立てられました。皆さんも興味があれば、彼のホームページでぜひ美しい写真の数々を見てみてください。

ホームページを確認するとわかるように、彼は単なる冒険家というわけではなく、自分の極域で感じている実体験をもとに、世界中の人々に地球温暖化への意識をもっと向けてほしいと思い、世界中の海で泳ぐ様子を発信しています。10年前と比べて氷の量が減っているということを、実際にそこを見て泳いで、私たちの感情に訴えかけてくれる人はなかなかいません。データは定量的な評価をする上には必要不可欠ですが、結局人の心を動かすのは人の言葉だなと考えさせられます。かく言う私も、彼の写真と言葉に魅了され、皆さんに共有しているあたり、彼の影響を受けているなと感じています。


執筆者:シャチハタ