天なびコラム

第7620話

2021年09月07日

30年の積み重なり

最近、私の親しい人が30歳になりました。
30歳というと、三十路などと言われ、年取ったなあとネガティブなイメージを持つことが多い気がします。誕生日プレゼントにはだいぶ悩んだのですが、気象の世界で30年と言えば平年値を出す期間だなと私は思いました。そこで、30年生きてきたことをポジティブに捉えてもらうためにも、その人にとっての平年値を算出してみました。(ちなみに、気象庁が使う平年値は、その時点から前30年間ではなく、西暦の1の位が1になる10年ごとに更新されるもので、例えば1991年〜2020年の平年値は2030年まで使われます。)

今まで住んでいた場所とその期間を聞き出して、主に近隣のアメダスのデータから、その人が30年間で経験した気象要素を並べていきました。
気候の大きく違う場所に何度か引っ越しているので、30年分の各月の平均値を取ると、年間変動はどこの観測値とも似つかないその人独特のグラフになりました。また、平均を取らず30年分そのままの長い時系列のグラフも作り、引っ越しの影響がこう出るのかとか、この辺りは苦労していた頃だなとか、ここが私と出会った頃だとか、これはあの時の大雨だなとか思い出して、アルバムのようにじっくり見ることができました。
誕生日プレゼントが紙一枚ってどうなんだろうなあと思いつつも(ケーキも買いましたが)、その人にとっても私にとっても、すごく貴重なプレゼントになったと思います。

皆さんも、周囲にもうすぐ30歳の人がいたら、その人にとっての平年値を算出してみてはいかがでしょうか。


執筆者:ありんこ