天なびコラム

第7867話

2022年05月12日

カフェインレスコーヒー

皆さんコーヒーはお好きですか?毎日このコラムを読んでくださっている方はお気づきかもしれませんが、このコラムでもよくコーヒーが取り上げられています。一つの会社の中でもこれだけ愛され、語りたくなる飲み物はなかなかないかも、と贔屓目に見て思っております。

私もそんなコーヒー好きの一人ですが、あまりカフェインに強いわけではないですし、健康上カフェインを摂取しない方がよい時もあります。そこで先日試しに買ってみたのがタイトルにあるカフェインレスコーヒーです。実は5年ほど前に挽かれた状態のカフェインレスコーヒーを試してみたことがあるのですが、そのころはおいしいと思えず、それ以来カフェインレスコーヒーはおいしくないものとして嫌厭していました。しかし最近になって、普通コーヒーは豆から挽いて飲んでいるのに対し、粉のカフェインレスコーヒーを飲んでおいしくないと決め付けるのは不公平だった、と反省したわけです。というのは建前で、カフェインを気にせずにコーヒーのアロマを楽しみたいという欲求に負け、勉強代という名目で衝動買いしました。個人の感想になりますが、その味は「香り高く少しスッキリしたおいしいコーヒー」で、家に常備しておくコーヒー豆の一つとしてレギュラー化しそうです。

しかしなぜカフェインが少ないのにそんなに変わらないものが作れるのでしょう、不思議だとは思いませんか。例えばノンアルコールビールは、ビールの味に近づけてはいるものの、やはりアルコールの香りや苦みがなく、何か物足りない感じがしてしまいますが、今回飲んだカフェインレスコーヒーにそのような感じ方はしませんでした。

実はコーヒーの苦味成分のうちカフェインが占める割合は1〜3割程度。カフェインの量は生豆の状態から焙煎をしても変わりませんが、他の成分が加熱によって苦みのある成分に変化し、私たちが味わう苦味を作り出しているとのことです。そのためカフェインを除去した場合でも苦味の主成分が残されたおいしいコーヒーが作れるのです。ちなみにカフェインは水に溶けやすい親水性なので、水に漬けることで除去できますが、おいしさを構成する成分まで除去しないように様々な技術が開発されています。カフェインレスコーヒーのために、新たに発見されたカフェインを含まないコーヒーノキを使ったり、そのようなコーヒーノキの育種に取り組んだりもされているようです。カフェインレスコーヒーひとつ取っても様々な技術や知見があって、本当にコーヒーは奥が深いなと思います。


執筆者:シャチハタ