天なびコラム

第2877話

2008年09月12日

海のカーナビ

車で移動する時、地図を見ながら目的地へ、というのは昔の話。今は、カ-ナビが頼りになっているこの頃です。

さて、海のカーナビというがあるのをご存知でしょうか。
昔から、およそ航行する船は、海図という地図を見ながら航行しています。
海図には、航海のために必要な水路の状況、水深、底質、海岸の地形、海底の危険物、航路するための標識などが表示されています。
さらに、タンカーや物流などの大型船は現在、自船の位置をGPSで取得し、電子海図上に表示される機器を利用している船舶が主流になっています。
プレジャ-ボートなどでは、ハンディGPSでナビを利用している方もいらっしゃるでしょう。

陸上の道路とは違い、決まった道路というものがない海上です。
周りの船がどこにいて、どこに進んでいるのかが安全管理上知りたい情報になります。ある程度の大きさを持った船からは、自船の位置をAISと呼ばれる船舶自動識別装置から海上保安庁の海上交通センターなどに提供しています。AISを持っている船は、その情報を共有でき、海上交通センターでは、その情報などから、各船への航路指示、情報提供などの交通整理をしています。
しかし、比較的小型の漁船やプレジャーボートなどは、AISを持っていない場合が多く、濃霧など視界が悪い場合などは、全く見えない船が出現するという、きわめて危険な状態が生じます。
そんな危険な状態を回避するために、海上保安庁では、海上にいる全ての船舶に、自船の位置を交通センターに提供し、各船が、周りの船を全て把握できる、海のカーナビを構築する計画をしているのです。
濃霧や、波などの気象情報もそこには表示される予定です。

そんな今日は、137年前に日本で初めて海図作成が始まった、水路記念日です。

執筆者:亜蘭