天なびコラム

第5070話

2014年09月14日

アリとキリギリス

涼しくなると秋の虫の声がよく聞こえるようになりました。
私の家の近くでは、エンマコオロギ、キリギリスが多いようで、「コロコロコロ」というエンマコオロギの声や、「チョン、ギーー」といったキリギリスの声をよく聞きます。

ふとアリとキリギリスの話で、アリはせっせと仕事をして冬を越し、その間何もせず音楽を弾いたりしているキリギリスは飢えてしまって冬を越せなかったという話を思い出しましたが、実際に生態を見ているとキリギリスも実はアリと同じかそれ以上に苦労しているんだろうなと思います。

多くのアリは巣の中に働きアリが餌を運び、巣の食料庫に置いて皆で食べたり、女王アリや幼虫に食べさせたりしています。またアリは集団で秩序を保つために臭いでお互いに色々な情報交換をするため、仲間が見つけた餌に行列を作って一斉に群がるなど一斉に同じ行動をすることが多いですし、その集団のまま冬を越すため、運ぶ餌が草の種子等日持ちするものに変わるくらいで実はあまり特別な冬対策はしていないと言われています。

対してキリギリスは自分の餌は自分で確保し、縄張りを持つため常に一匹で行動していますし、肉食も必要なため狩りもしています。また幼虫〜成虫の姿では冬を越せないため、雄は頑張って雌を見つけて子孫を残さないと自分の遺伝子が途切れてしまいますので、必死に鳴いて雌を誘い続けています。

コツコツとやるべきことをやり、お互いを守り助けあうことで社会生活をするアリ。一匹狼で生き残り、子孫繁栄をかけて戦うキリギリス。それぞれ選んだ道は違いますが、苦労の度合いは甲乙つけ難いですね。
対して私は書類の処理をサボり、期限前になって周りに泣きつくという事も多々あり、キリギリスに例えられることがありますが、それはキリギリスに申し訳ないと思う今日この頃です。

執筆者:伝書鳩