天なびコラム
第5518話
2015年12月06日
寒苦鳥
11月は記録的な暖かさになった地域が多かったのですが、先日は強い寒波が襲来しました。山は雪景色になったところが多いでしょう。
ところでみなさんは「雪山の寒苦鳥(カンクチョウ)」をご存知でしょうか。これはヒマラヤにいるとされる想像上の鳥で、仏教の法話に出てきます。
冬の夜、寒さに苦しむ雌鳥を見て、雄鳥は決意をします。「夜が明けたら、寒さをしのぐための巣を作る!」
そして夜が明けて太陽が昇り、暖かくなると・・・夜に寒くて苦しんだことを忘れてしまい、巣を作ることを怠けてしまいます。そして再び夜がやってくると、寒さに苦しむことに。「よし、明日こそは巣を作るぞ!」と決意を新たにするのですが、また日が昇ると忘れてしまう。これを繰り返して、ずっと寒い夜に苦しみ続けることになります。そのため「寒苦鳥」と名づけられました。
「寒苦鳥にならないように」と人を導くためのたとえ話ですが、この話を作った先人の想像力に感嘆します。
リラックスする時間がないとストレスがたまるのでよくないかと思いますが、気を緩めすぎて後悔を繰り返すような悪習は断ちたいものです。
冬の季節風が肌を刺す夜に思い出される寒苦鳥。みなさんは心の中にいませんか。
執筆者:西