天なびコラム

第5570話

2016年01月27日

豪腕・シベリア高気圧

突然ですが、みなさま、西高東低の冬型の天気図はお好きでしょうか。
私は小学生の頃、休み時間にプリントの裏に架空の西高東低の天気図を書いて、日本列島を縦縞で埋め尽くして遊んでいた筋金入りの「西高東低おたく」です。
そんな私から、今日は皆様に特別に、西高東低の天気図の楽しみ方についてご紹介したいと思います。

「高気圧と低気圧の気圧差を求める」とか、「日本列島を横切る等圧線の数を数える」とか様々な流派があるのですが、本日ご紹介する方法は至ってシンプル。「シベリア高気圧の中心気圧に注目する」というものです。
これはとても手軽なうえ、西高東低の時はもちろん、「東低」にあたる低気圧が無い時でも楽しめるというすぐれものです。

やり方は単純です。天気図の左上から顔を覗かせているシベリア高気圧の中心気圧をチェックするのです。
高気圧が複数あるときは、最も気圧の高いものを選べばよいでしょう。
はじめのうちは、それが高いのか、それほどでもないのか、よく分からないと思います。
そんな時は、シベリア高気圧をプロ野球の速球投手に見立てて、中心気圧をストレートの速度に換算してみましょう。換算方法も簡単です。

(1)単位をhPaから時速〜kmに変える
(2)百の位のゼロを消す

たったこれだけです。

1030hPaなら、時速130km。まだまだこれからですね。
1040hPaなら、時速140km。そろそろ一人前といったところでしょうか。
1050hPaなら、時速150km。これはもうエース級です。
1060hPaなら、時速160km。ひと冬に何度も見られない、夢の大台です。

するとどうでしょう。天気図が更新されるごとに、速球投手がストレートを投げ込んだ後のスピードガン表示を見るようなワクワク感を味わうことができるのです。

さて、先週末の日本列島は大寒波に襲われ、九州各地で観測史上1位の寒さを更新したり、沖縄本島で史上初のみぞれを観測したりする異常事態となりました。
この大寒波をもたらしたシベリア高気圧は、やはり規格外でした。中心気圧は1070hPaを超え、24日(日)の9時にはなんと1078hPa。
先ほどの急速換算では178km/hというとてつもない数字になります。
これだけの「豪腕投手」が現れたのですから、日本がきりきり舞いさせられてしまったのも納得、というところです。

いかがでしょう。興味を持っていただけたでしょうか。
シベリア高気圧の中心気圧を楽しんでいただけるのは、冬季だけの期間限定となっております。
お天気ナビゲータやテレビの天気予報などで天気図をご覧になった際は、ぜひ、左上の高気圧の中心気圧にご注目ください。


執筆者:瓢箪