天なびコラム

第6155話

2017年09月03日

マリモは強く生きている

朝と夜は暑苦しいこともなく、帰り道では鈴虫の鳴き声が聴こえてきました。まだまだ暑さが続くのかなと思っていたのですが、もう秋なのですね。この夏は一心不乱にお仕事をしていたので、気がついたら8月も終盤になっていたのですが、もう一つ大事なことに気がつきました。それは、3月末から育て始めたマリモのお世話を夏の間すっかり忘れてしまっていたということです。

以前コラムで書きました私の物足りない気持ちを満たしてくれたそのマリモは、真夏の直射日光を存分に浴び、交換されない汚れた水の中という悪い環境下で過ごした結果、表面が白くなってしまい、触ってみると少し柔らかくなっていました。私はなんということをしてしまったのだとひどく落ち込み、自分を責め続けながら、マリモの表面を洗い、水を交換し、適度な光が当たる場所へ移すなど、できる限りのことをしました。

そして、その数日後、様子を伺ってみると白いマリモの上部にとても細かな真緑の物体が出現していました。おそらく、内部で細胞分裂が行われていたのでしょう。それはのちに母体から剥がれ、ちっぽけなビンの中に新たな生命として転がり落ちました。反省とともにマリモの生態と生命力の強さを知ることができ、いい経験になりました。

私には今年も夏休みがありませんでしたが、この調査報告を今年の夏休みの自由研究といたしましょう。


執筆者:スケール