天なびコラム

第6271話

2017年12月28日

みかんと気温

12月も下旬になると、寒さが身にしみるようになってきました。
毎年この頃になると、みかん農家の親戚から伊予柑が届きます。
紅まどんなやデコポンが数個混じっていて、冬の楽しみの一つになっています。

みかんの栽培には、年平均気温が15度以上、冬の最低気温がマイナス5度以上必要で、美味しく育つには、8-10月の日照時間が多いほうが良いとされます。
みかんの3大産地、和歌山、静岡、愛媛はいずれも温暖な土地です。
これらの産地でも、みかん畑は山の上にあることが多いのですが、山では底冷えが起こらないために200〜300mの低い標高でも、夜明け前にはふもとより3〜5度も高くなります。
みかん栽培の北限とされる茨城県でも、育てられているのは筑波山中腹の斜面温暖帯と呼ばれる、早朝に気温の下がりにくい場所です。

こんな風に気温が大事なので、みかんは気候や季節によって最適な品種があります。
愛媛では、温州みかんは10-12月、ポンカンは1-2月、せとかは3月、といった感じです。
そのため、近年の気温上昇は大きな問題で、愛媛のみかん研究所の話では、従来品種の一部は美味しく育てることができなくなり、より温暖な気候に適したオレンジ(「みかん」とは別のものらしいです)にシフトしたほうが良いかもしれないということでした。

しかし、畑の土を新しい品種に合わせるのにも時間がかかるのではないでしょうか。
急に気温が上がったりしたら、どのみかんも育たなくなってしまうのではないかと心配です。
おいしい品種が少しでも長く楽しめるように、気候変動の緩和に努めねば、と考えながらみかんを頬張る年の瀬です。


執筆者:チャーリー