天なびコラム

第7131話

2020年05月06日

季節のすき間

水平線の少し上、水平線と平行にまっすぐ伸びる虹を見たことがありますか。
巻雲や巻層雲に含まれる氷晶がプリズムとなって虹色が見える、環水平アークという現象です。
5月は環水平アークが最も見えやすい時期と言われています。(ただし、九州から東北あたりの範囲)

氷晶での屈折角の関係から、太陽が水平線から58°以上高く昇らないと環水平アークは見えません。
北緯35°付近では、4月から8月の間しか太陽が58°以上昇るチャンスはありません。
しかも九州から東北では、6,7月は梅雨前線に覆われる梅雨、7,8月は太平洋高気圧に覆われて氷晶が少なくなる夏で、見えるチャンスはぐんと減ります。
4月か5月かとなると、太陽がより高く昇る5月のほうがチャンスは多いので、環水平アークが一番多く見られるのは5月なのです。

太陽は高いけど上空に氷晶はある、そんな季節のすき間だからこそ見える綺麗な虹色、環水平アーク。
巻雲か巻層雲が出ているときに太陽の下45〜58°と低めのところに出るので、家の窓からでも探してみてはいかがでしょうか。


執筆者:ありんこ