天なびコラム

第7217話

2020年07月31日

アポロ15号で月面の温度は上がるのか?

49年前、アポロ15号の着陸船が月面に到着しました。
1971年7月30日、2人の宇宙飛行士は月面で3日間過ごし、初めて月面車が活動しました。

大事なサンプルを採集し月面の起源の謎を解き明かすため、アポロ月面実験装置群を展開しました。
この実験装置群の中に温度計がありました。

しかし、宇宙でどうやって温度を測るのでしょうか?
驚いたことに、気象庁の測り方が採用されていました。
温度センサはニッケルからなる測温抵抗体で、温度が変化するとともにニッケルの電気抵抗率が変わるので、宇宙で温度を測れました。

そして、アポロ15号の宇宙飛行士は、月面に温度計を埋め立て、7年間のデータを集めました。
そのデータと1972年のアポロ17号のデータを解析すると、1971年から1977年の実験の終了まで月面下では、6度程上昇していることを示していました。

なぜでしょうか?
研究チームによると、宇宙飛行士の活動の影響だと考えられています。
着陸地の周りで活動した結果、表面の埃が舞い上がり、月面が暗くなったので、太陽熱吸収量が上がるとともに温度も上がったとされています。

それにしても人間はどこへ行っても、環境に影響を与えるのですね。
しかしながら月面では昼夜の温度差は250度ぐらい(昼に100度程、夜に-150度程)ですので、表面の活動にはそれほど大きな問題はありません。


執筆者:英雲