天なびコラム

第7254話

2020年09月06日

海水温と台風

台風10号は、あすにかけて接近する見込みです。
災害級の大雨や暴風も予想されており、厳重な警戒が必要です。
進路から離れている東日本でも、台風の影響で湿った空気が入りやすく、大雨となる可能性がありますので油断は禁物です。

近年台風が発達しやすい要因として、海水温の話をテレビの天気コーナーでも取り上げられることが多くなりました。
一般的に、海水温が28度以上だと、水蒸気の供給が活発になり台風が発達しやすいと言われています。
水蒸気の供給が増えると、上昇気流により雲も多く作られ、放出される熱(潜熱)も増えるのでどんどん発達するという流れです。

7月に台風が発生しなかったのが話題になりましたが、実はこれが海水温上昇の原因の1つになっています。
本来、1度台風が通ったエリアは一時的に海水温が下がる傾向にあります。
これは、台風による反時計回りの強い風が海面下の冷たい海水を引っ張り、温かい海面とかき混ぜられるからとされています。
「湧昇」と呼ばれる現象ですが、今年は台風の接近がなく湧昇の効果もなかったことで、例年より高い水温が維持されているそうです。

また、気温と違い、海水温は今が1年で最も高い時期です。
空気よりも水の方が温まりにくいためで、海水温の変わり方は地上の気温の変わり方よりも1〜2ヶ月程度遅れるのが一般的です。
9月に台風が多いのもお分かりいただけますでしょうか。

海水温の情報は、天なびでも海ナビのコーナー内で見ることができます。
釣りやサーフィンの趣味がない方はあまり見る機会が少なかったかもしれないですが、是非覗いてみて下さい。
最近の海水温を見ると、30度以上のエリアが広範囲に渡っているのがよく分かると思います。

繰り返しになりますが、台風10号による大雨や暴風には厳重に警戒して下さい。
台風10号への備えはもちろんですが、今後も強い台風が接近・上陸してもおかしくない時期です。
マニアックかもしれませんが、こういった多様な情報も是非活用の上、台風対策を今後も心掛けて下さい。


執筆者:そふぃー