天なびコラム

第7883話

2022年05月28日

血を通わせる

「マニュアルは作っただけではダメ。血を通わせないといけません」。とても考えさせられる言葉でした。
先日、宮城県石巻市にある大川小学校にうかがいました。大きな被害が出た学校で、現在は震災遺構として保存されています。何度もニュースに取り上げられたところですので映像としては知っていましたが、現場に立つと画面越しではわからない被害の大きさや津波のエネルギーの大きさが伝わってきます。
ガイドの方のお話の中で心に残ったのが冒頭の言葉です。避難のマニュアルがあっても、内容が曖昧だったり、十分な訓練がされていないと有効ではないということですが、「血を通わせる」の表現が心に響きました。
避難のマニュアルを作るのも労力のいる作業なので、完成するとそれで満足してしまうかもしれません。ただそれを生かし続けるには血を通わせる必要がある、その血を送る心臓になるのは「人」なのです。
私も個人の「タイムライン(防災行動計画)」を作っています。ただその計画に「血が通っているのか」。風水害のシーズンを前に、いざというときの備えについて見つめなおす機会となった訪問になりました。心臓を動かし、あらためて作った計画に血を通わせようと思います。みなさんがお持ちの「マニュアル」はどんな状態でしょうか。血は通っていますか。

執筆者:西