天なびコラム

第8352話

2023年09月09日

何度も「越冬」したAIという技術

最近は「ChatGPT」など、AI(人工知能)技術の一般利用が進むようになってきました。私もこうした技術を使って、お仕事するようになり、スピードや質が上がっていることを実感しています。

今となっては、華々しく持ち上げられる人工知能の技術も、実は、冬の時代と言われるような時期も含めて、長い歴史があるのです。

現在のAI技術の一つである「ニューラルネットワーク」は、1943年にウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツが発表した「神経活動に内在するアイデアの論理計算」と題する論文が基礎となっているといわれています。その後、1950年代から研究開発が進められて、2度の開発「ブーム」が巻き起こったものの、実用レベルに至らなかったため、その後は冬の時代を経験することになりました。

しかし、2012年に「畳み込みニューラルネットワーク」という技術が台頭したことにより、こうした「ディープラーニング」という技術が世界的に認知されたことで、人工知能の開発ブームが巻き起こると、そこから加速度的に研究が発展し、今の状況に至りました。ちなみに「ニューラルネットワーク」は、気象庁が発表する気象予報なんかにも使われていたりします。

冒頭にも挙げた「ChatGPT」のような「生成AI」は今年の流行と言っていいようなもので、企業間での開発競争は非常に激化していて来ており、いくつもの「生成AI」がリリースされています。そうした「生成AI」使用してみると、「生成AI」によって違った回答をくれる時もあり、各「生成AI」の個性のような人間味的な部分も感じられて非常に面白く感じています。

ところで、SFで書き古されたテーマで、「人間vsAIの争い」というようなものがありますが、とあるAIにそのことを聞いてみると「現実には、人工知能は工具や技術の一部であり、私たちがどのように利用するかによってその結果が変わります。」とのことで、あくまで道具であるという回答でした。昨今の米中の開発競争なんかを見ていると、むしろ、人間同士がAIを使って争っているというのが現状のようです。えてして、子供のころに読んで、信じていた(?)将来像というのは現実とは少し違っているのだなあと思うこの頃です。


執筆者:うらしま