天なびコラム

第8435話

2023年12月01日

晴れわたる空に白い雲

今日から師走、季節としては冬に入りましたが、今年は夏が長くて、秋を感じられる時間が短かったですね。私は秋という季節が様々な理由で好きです。爽やかな気候。夜に奏でられる虫の音。鮮やかな夕焼けが見られること。年の瀬に向かって確かに刻まれる時間を感じられること。そして、高く晴れ渡る空に浮かぶ個性ある色々な雲を眺められることです。

昔から「天高く馬肥ゆる秋」という言葉があるように、秋の空は高いイメージがありますが、なぜ秋の空は高いと言われるのでしょうか。
その理由には空気自体の綺麗さ等いくつかありますが、高い所にある雲が見えやすいというのも大きいです。

その代表的な雲が巻雲。すじ雲とも言われる繊維状のような細く薄く伸びる雲です。これは最も空高くできる上層雲の1つで地上から5〜13kmあたりの空に浮かびます。
同じく上層雲の1つである巻積雲も秋を代表する雲です。小さな白い雲が無数に集まっている様から、鱗(うろこ)雲、鰯(いわし)雲、鯖(さば)雲などとも言われます。
これらより少し下の高さにできる中層雲(地上から2〜7km)の1つ、高積雲も小さな雲の集まりなのですが、こちらは巻積雲より少し大きく、羊の群れの様にも見えることから、羊(ひつじ)雲とも呼ばれることがあります。
これら個性ある雲達は秋以外でも見られるのですが、移動性高気圧と低気圧が交互に日本付近を通過する秋では、高気圧の中心が少しずつ東へ移動し、徐々に低気圧が近づく前のタイミングでよく見かけることが出来ます。裏を返せば、鱗雲や羊雲が見えると、これから天気が悪くなることも多いのですが。

爽やかな秋の季節、近所の公園でも自宅のベランダでもどんな場所でも、いつでもある日常で、時には空を眺めて、時には何でもない会話して笑って、、。特別なことは何もなくとも、日常のそんな時間に幸せを感じることがあります。

晴れわたる空に白い雲。そんなフレーズから始まる何気ない日常にある幸せを歌った『何の変哲もないLove Song』という楽曲が私は大好きでした。この楽曲を作詞作曲されたKANさんが11月12日逝去されました。『愛は勝つ』が有名なKANさんですが、他にも数多くの素敵な楽曲をありがとうございました。ご冥福を心よりお祈りします。

執筆者:そら