天なびコラム

第8739話

2024年09月30日

微かな変化を知る

SNSやリモートが普及し、人と人が直接触れ合う機会の少なくなりつつある時代、スモールトークの重要性が認識されてきています。
スモールトークとは、ちょっとした世間話や雑談のことです。スモールトークには、初対面の人同士の距離を縮めたり、緊張を和らげたりする重要な役割があります。会話の中でお互いの共通点を見つけたり、相手に興味を抱いたりすることで人間関係を築けるので、スモールトークは重要なコミュニケーションツールとされています。
コロナ禍以降、リモートワークが一般化したビジネスの世界においても、組織内の人間関係を築くために、スモールトークは特に必要なコミュニケーションスキルの1つです。

お互いの距離を縮めたり、緊張を和らげるコミュニケーションも大切ですが、普段からその人と接し、相手を知ることで、その人の微かな変化に気づけることもあります。
人は優しさや正義感ゆえに、自分のことで他人に迷惑をかけたくないという思いが働き、辛さや悩みを声に出さず、その思いを心の内に閉じ込めることがあります。結果、人は心身共に大きなダメージを背負ってしまうこともあります。
しかし、そういった辛さや悩みは声に出さずとも、微かな変化となって現れることがあります。それは行動や表情、会話の内容だったり様々です。
普段からその人を知ろうとし、何気ない世間話や雑談を重ねていると、そんな微かな変化に気づける可能性を増やします。その微かな気づきによって、悪い事態を未然に防ぐことができるのかもしれません。

気象の世界には古くから「観天望気」という言葉があります。自然現象や生物の行動の様子などから天気の変化を予測することです。これも長年にわたって普段から周囲の自然や生物の動きを見て、知ろうとしてきたからこそ、自然や生物の微かな変化に気づくことができて、その結果、未来の天気を予測できるものです。スモールトークは、人間社会の中での観天望気なのかもしれませんね。

執筆者:そら