北海道太平洋沿岸部での赤潮の発生状況について(10/18更新)

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9月下旬に深刻な漁業被害を引き起こした赤潮の発生状況について、今後のデータ利活用の可能性を検証するため、クロロフィルa濃度のデータを用いて可視化しました。

目次

被害発生前から発生時にかけての状況

画像@が2021年9月6日〜13日の平均、画像Aが2021年9月14日〜21日の平均のクロロフィルa濃度です。(赤色が濃くなるほど濃度も高くなっています)

画像@

画像A

9月中旬頃まで(画像@)は被害が発生した北海道の太平洋沿岸部では、植物プランクトン量の目安とされるクロロフィルa濃度は他の海域よりもやや高い程度で濃度は最大でも約10μg/Lでしたが、9月半ばを過ぎると(画像A)同海域で赤色が顕著に濃くなり、最大で約60μg/Lにも達し、植物プランクトンが増殖していたことが示唆されています。

※μg=100万分の1g

続報(9月下旬以降の赤潮の発生状況)

画像B,C,Dは9月下旬以降のクロロフィルa濃度です。

画像B

画像C

画像D

9月下旬(画像B)になっても、北海道道東の太平洋沿岸部では一部でやや濃度が下がったところはあるものの依然として濃度が高い状態が続いています。

10月上旬(画像C)では、データ欠損域(灰色部分)が多く被害が発生したエリアの状況が確認できませんが、襟裳岬の南東側の海域で濃度が高くなっており、この海域へ高濃度域が移動、あるいは拡大している可能性があります。

10月上旬から半ば(画像D)では、依然として濃度が高い状態が広範囲で続いている事が確認できます。

赤潮を発生させた植物プランクトン

今回の赤潮についての調査で、低い海水温でも生息・増殖できる植物プランクトンが見つかっています。海水温が下がってきている10月半ばになってもクロロフィルa濃度が高い状態が続く背景には、この植物プランクトンの存在があると考えられます。

参考資料

・北海道水産林務部水産局水産振興課「太平洋海域で発生した赤潮の原因プランクトンについて」

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressrelease/top.html 2021年10月7日)

クロロフィルa濃度と植物プランクトン、赤潮の関係

赤潮は植物プランクトンの増殖によって海水が着色し、魚介類に被害を及ぼす現象です。

この赤潮の原因となる植物プランクトンの量の目安となるのがクロロフィルa濃度です。

クロロフィルaは4種類あるクロロフィル(葉緑素)の中でもほとんどの植物に含まれ、水域ではその濃度をおおむね植物プランクトンの量を示すデータとして扱うことができます。

使用データについて

使用したデータは、JAXAが運営しているサービスG-Portalで提供されているものです。人工衛星「しきさい」搭載のSGLI(多波長光学放射計)が観測したクロロフィルa濃度推定データです。

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※クロロフィルa濃度の予報やデータは掲載しておりません。

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