天なびコラム

第8553話

2024年03月28日

急勾配

先日、関西屈指の急勾配として知られる、暗峠(くらがりとうげ)をドライブしてきました。

暗峠は、大阪府と奈良県を隔てる生駒山を越えるルートの一つとして、かつては多くの人々が往来していました。
今でこそトンネル一本で行き来できる両府県ですが、そういったものがなかった時代には大変重要な道であったようです。

この暗峠、大阪府側はほぼ標高0mの平野部から標高約450mの峠までを一気にかけ上がるため、かなりの急勾配となっています。
諸説ありますが、峠の名前は馬の鞍もひっくり返るくらい急な坂であったことが由来と言われています。
また道幅も非常に狭いため、自動車での通行には覚悟が必要です。

とはいえ実際に訪れてみると、道中眼下に見える大阪の街並みは絶景で、峠越えへの不安は吹き飛んでしまいました。
そして峠付近では、路面が江戸時代に敷設された石畳となっており、かつてここが交通の要衝であったことを感じさせてくれました。
さらに奈良県側に下ると今度は棚田が広がり、一つの山を越えるだけでこれだけ景色が変わるのかと、非常に驚いたことを覚えています。
時間にしてわずか30分足らずの峠越えでしたが、大いに楽しむことができました。

なお、先述の通り暗峠は非常に険しい道となっており、自動車での通行は万人におすすめできるものではありません。
大阪府側からであれば、徒歩でふもとの最寄り駅から峠まで1時間程度、奈良県側の最寄り駅まで下っても2時間程度です。
体力に自信がある方は、かつてのように歩いて峠越えにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


執筆者:クリプトメリア