天なびコラム

第8561話

2024年04月05日

ふらりと図書館へ

先日、佐賀県を通りかかることがあったので、気になっていた図書館に立ち寄ってきました。西九州新幹線の開業により近年注目を集めた街の「武雄市図書館」です。

なにゆえ関心を持っていたかというと、資料の閲覧・貸出という機能にとどまらず、書店・カフェとの一体化によって特色ある施設へ進化した図書館だからです。販売されている雑貨を手に取り眺めるひと、カフェで談笑するひと、コーヒーを片手に書棚の本を探すひと、というように自由に過ごす人々が集まり、建築物そのものや館内の開放的なデザインとも相まって、なんとも居心地の良い空間になっているのでした。「厳かに本を読む場所」「飲食厳禁」「私語NG」といった堅いイメージとはかけ離れた図書館なのです。私も読書や勉強が目的ではなく、用務先へ向かう途中で落ち着いてデスクワークができる場所、としておじゃまさせてもらいました。

本を「読む」わけではないけれどもなんとなく図書館へ。そんな寛ぎを感じる図書との接し方の余韻に触れていたくて、ただぼんやりと眺めるだけの、毒にも薬にもならなそうな本を1冊買って図書館を後にしました。『名画のなかの猫』という本で、ページをめくるといじらしい猫たちの姿にほのぼのとした気持ちになります。きっと、こういう目に楽しい本との出会いを求めて「さんぽしに行く」というのも、図書館の使い方としてあっていいのだろうななどと思いました。


執筆者:きぼりぐま