天なびコラム

第6191話

2017年10月09日

コラム集

田舎で暮らす両親からすると、我が子の文章がコラムとして掲載されるのは嬉しくも誇らしいことのようです。とりわけ熱心なのが父親で、まめに感想をメールしてくれるのですが、先日ついに、私の過去の全コラムをまとめ上げた冊子まで作ってしまいました。

表紙や目次があるのはもちろんのこと、随所に写真やイラストまで挿入し、なかなか本格的な仕上がりです。若い頃であればこの熱心さを恥ずかしく感じたりもしたのでしょうが、年齢を重ねた今となっては、いつまでも「親」でいてくれることを素直に嬉しく思えます。

改めて過去の自分のコラムを読み返すと、文章が徐々に変わってきたことを実感します。最初のうちは書きたいことを書き連ねただけの、自己表現の域を出ないものでした。それが様々な感想をお寄せいただくうちに、読んでくださる方の姿が焦点を結び始め、「お伝えしたいこと」が芽生えてきました。最近では、今や懐かしい文通を楽しんでいるような感覚を覚えることもあります。

時代は、コミュニケーションをより簡素に、効率的に済ませる方向に進んでいるように感じます。そんな中で、このような「文通」にお付き合いいただける方がいらっしゃるのは本当にありがたいことです。父がまとめたコラム集は、感想をくださる方々とも一緒に作り上げたものに感じられ、その意味でも温かな気持ちになりました。


執筆者:ヒョウタン