天なびコラム

第6786話

2019年05月27日

星峠の転落事故と撮影ルールの話

少し前のニュースになりますが、GWに新潟県の「星峠」と呼ばれる星景写真の人気撮影スポットで車の転落事故がありました。「星峠」は、斜面に大小200の棚田が広がり、GW期間中は、夜になると田植え前の水の張った水田に星が反射して、星に包まれるような神秘的な光景となります。

この景色を求めて、GWには日本各地から写真好きの人達が星峠に押し寄せるのですが、そんな中で発生した転落事故でした。転落した車には不自然な点があり、夜の事故であるにもかかわらず、車のヘッドライトが消灯されていたというです。

これには、写真愛好家の間で広がるルールが関係しているのではと推測されています。

「星撮影している人に配慮してライトは消灯するべき」

星空を綺麗に撮るには、周囲が暗いことが絶対条件で、街灯や車のライトだけでなく、懐中電灯やスマートフォンの明かりさえも、撮影においては邪魔になってしまいます。星景写真では、星の軌跡を撮影するために、長時間シャッターを開けっ放しにすることも多く、その間に車のライトなどの光が入ってしまうとその写真は台無しです。

こうした事情があって、撮影者に配慮してライトを消灯して車を移動させる人が現れ、気がついたらそれがルールとして定着してしまったのだと思います。

しかし、夜間にライトを点灯せずに走行させる行為は、道路交通法違反に当たります。なにより、街灯が少なく、道が細く入り組んでいる星峠で、ライトを消灯して走行すると危険ということは想像に難くありません。

最近は、カメラの高性能化やInstagramなどSNSブームで、写真撮影を楽しむ人が増えていますが、一部の人によるルールやマナー違反が原因で周辺の住民に迷惑になったり、その場所が立入禁止になってしまう事例も見られます。一方で、今回のように写真愛好家の間でのルールが、世間一般の考えと離れてしまうこともしばしばあります。

私も写真を趣味とする人間として、撮影に没頭するがあまり、冷静な考えを見失わないように心がけたいと思いました。大切な写真撮影スポットを、自らの手で無くしてしまわないように気をつけたいものです。

執筆者:ドローン