天なびコラム

第7149話

2020年05月24日

オンライン世界旅行

自宅待機期間中、オンラインで好きな場所の画像検索などをして、家にいながら旅行気分を楽しんだ人は多いのではないでしょうか。
ゴールデンウィークにはオンライン帰省なども話題になりましたね。
あまり話題になりませんが、気象の世界でも、普段は見ない世界中の天気図や衛星画像などを見ていると何時間も楽しめると思います。
地上だけでなく大気圏も含めたオンライン世界旅行です。

思えば気象の世界は、オンライン世界旅行の先駆けのような分野ではないでしょうか。
パスカルによる大気圧の発見の後、気圧と天気に関係があることが見出され、天気を予想するために各地で観測した気圧を地図に書き記したのが天気図の始まりとされています。
天気を正確に予報するには広い範囲の気象データが必要ですが、初期は手紙で各地の気象データを収集していたそうです。
技術の進歩とともに、電信でデータ収集が素早くなったり、レーダーや気象衛星で直接広範囲の雲の様子を観察できるようにもなったり、遠くのデータを収集する技術を次々と取り入れてきました。
今となってはインターネットで世界中の膨大なデータを一瞬で集められる時代ですが、遠くの気象データだけから周囲何百、何千kmものスケールの大気の動きに思いを馳せる、このわくわく感は初期の天気図の頃から変わっていないのではないかと思います。


執筆者:ありんこ