天なびコラム

第8549話

2024年03月24日

たえて桜のなかりせば

早いもので今年度も残すところあと1週間となりました。
現時点の予想では日本各地でちょうど桜が咲き始める頃かと思いますが、皆様のお住まいの近くではどうでしょうか。今年もきれいな桜が見られるといいなと思います。
しかし私たちはなぜこんなにも桜を見ると嬉しくなってしまうのでしょうか?
DNAに刻み込まれた日本人としての魂(?)がそうさせるのでしょうか。
古今和歌集にはこのような歌があります。
「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」
在原業平が詠んだ有名な歌ですが、「この世の中に全く桜というものがなかったなら、春を過ごす人の心はどんなにのどかであることでしょう」といった意味です。本来のどかな季節である春なのに、桜が咲いたり散ったりするのが気になってしょうがなく落ち着かない…ということですね。
平安時代の昔から、このような歌が詠まれるほど桜が人々にとって大きな存在だったということを考えると、もはや我々はDNAレベルで桜を愛でていると言っても過言ではないのかもしれません。
あまり長くはない桜の時期ではありますが、散ってしまうまでの間しっかりと楽しみたいと思います。


執筆者:ちゃこ