天なびコラム

第8554話

2024年03月29日

最後のとき

先日、娘の幼稚園の卒園式がありました。3年前、ぶかぶかの制服をまとって毎日嫌々通っていた娘が、ピタッとフィットした制服をまとい、喜々と友達と喋り、胸を張って修了証書を受ける成長した姿に感動しました。

何でも自分でできるようになって頼もしくも感じると同時に、一抹の寂しさも感じます。卒園式でふと流れた「最後のとき(The Last Time)」という詩に、今この一瞬の大切さを改めて思い知らされました。なので、ぜひこのコラムで紹介したいと思います。

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「最後のとき(The Last Time)」
(作者不詳)

赤ちゃんをその腕に抱いた瞬間から
あなたはこれまでとは全く違う人生を生きる以前の自分に戻りたいと思うかもしれない
自由と時間があって 心配することなど何もなかったあの頃の自分に
今まで経験したことがないほどの徒労感
毎日毎日まったく同じ日々ミルクを与えて背中をさすってやり
おむつを替えては泣かれてぐずられて嫌がられて
昼寝をしすぎてもしなくても心配で終わることのない永遠の繰り返しに思えるかもしれない

だけど忘れないで…
すべてのことには、「最後のとき」があるということを
ご飯を食べさせてやるのはこれが最後、というときがやってくる
長い一日のあと子どもがあなたの膝で寝てしまう だけど眠っている子どもを抱くのはこれが最後
子どもを抱っこ紐で抱えて出かける だけど抱っこ紐を使うのはこれが最後
夜はお風呂で髪を洗ってやる だけど明日からはもう一人でできると言われる
道を渡るときには手を握ってくる だけど手をつなぐのはこれが最後
夜中こっそり寝室にやってきてベッドにもぐりこんでくる だけどそんなふうに起こされるのはこれが最後
昼下がりに歌いながら手遊びをする だけどその歌を歌ってやるのはこれが最後
学校まで送っていけば行ってきますのキスをしてくる だけど次の日からは一人で大丈夫と言われる
寝る前に本を読み聞かせて 汚れた顔をふいてやるのもこれが最後
子どもが両手を広げて あなたの胸に飛び込んでくるのもこれが最後

だけど「これが最後」ということはあなたには分からない
それがもう二度と起こらないのだと気付くころにはすでに時は流れてしまっている

だから今、あなたの人生のこの瞬間にもたくさんの「最後」があることを忘れないで
もう二度とないのだと気付いてはじめて
あと一日でいいから、あと一度きりでいいから、と切望するような

大切な「最後のとき」があることを

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私は娘と向き合う1つ1つの瞬間を大切にしようと思いました。3月は別れの季節。たくさんの方が何らかの「最後」と向き合っているかもしれません。
今子育て中の皆さんも、これから子育てをする皆さんも、これから子育てをするかもしれない皆さんも、もう十分大きくなったお子さんがいる皆さんも、子供として親と向き合っている皆さんも、今この瞬間に訪れるかもしれない「最後のとき」を温かく大切に過ごしてくださいね。

執筆者:そら