天なびコラム

第8569話

2024年04月13日

さよならオリオン

宵のうち、自宅最寄りのバス停を降りてふと空を見上げると、西の空にオリオン座を見ることが出来ます。この西に傾いたオリオン座を見ると、本格的に春がやってきたなぁと感じます。同時に冬が終わる寂しさも少し、、。

私は子供のころから宇宙や天体が好きで、図書館に行っては必ずと言っていいほど星と星座の図鑑を眺めていました。空に浮かぶ粒々の星の1つ1つが太陽や地球のような大きな物体で、その光が何万年もかけて地球に届いていると思うと、本当に不思議です。
いま、あの星はどうなっているのだろう。地球と同じように生命に恵まれた星はあるのだろうかと、思いを馳せていると、時間を忘れて空を見上げることが出来ます。

数ある星座の中でも、わたしはオリオン座が好きです。リボンのような鼓のような形をしていて見つけやすいですよね。冬を代表する星座の1つでもあるオリオン座は、冬の大三角の1つでもある赤い1等星ベテルギウス、ほぼ対角線上にある青白い1等星リゲルと、真ん中で横並びの三つ星が目立っていて有名です。

この三つ星の少し下に「オリオン大星雲」があります。肉眼でも見えるそうなのですが、街の中ではほとんど見えません。図書館の図鑑で見たオリオン大星雲をどうしても生で見たくて、小学生だった私は晴れた日の深夜に天体望遠鏡を持ち出しては、オリオン座を眺めていたのですが、都会の夜空では厳しかったようで、一度も見かけることはありませんでした。今でもオリオン座を見かけると、三つ星の下を凝視してしまいます。

帰宅頃にオリオン座が西の空に傾いているのを見ると今でも寂しさを感じます。次の冬こそ、今度はどこか空気の綺麗な場所で、オリオン大星雲を探してみたいと思います。

さよならオリオン。秋が深まる宵のうち、また東の空で会いましょう。

執筆者:そら