天なびコラム

第2645話

2008年01月24日

雪の布団

1月も下旬。今は1年でもっとも寒い時期にあたり、雪の便りが毎日のように届きます。
さて、雪が深々と降り積もっている様子を「雪衾(ゆきふすま:雪の掛け布団の意)」と言いますが、植物にとって的を射た表現です。というのも雪は断熱作用が大きく、厳しい寒さから植物を守っている一面があるためです。強い季節風が吹くと土が凍りますが、雪で覆われていると断熱作用が働くため凍結が起こりません。また放射冷却による凍結も軽減されます。そのため、雪面より上にある植物が寒さによって枯死することがあっても、下にある植物や根は生き残れます。つまり雪が植物の「布団」になっているわけです。彼らは雪のありがたみを噛み締めながら厳しい冬を耐え抜いていることでしょう。
雪の日の仕事や通学は辛いですが、春に芽吹く植物たちに布団を掛けていると思えば少しは心が温かくなると思います。みなさんはいかがですか。

執筆者:西