天なびコラム

第2678話

2008年02月26日

光の春から音の春へ

2月は、気候からみると最も冬らしい月ですが、日脚が延びて明るさを感じるようになることから『光の春』と呼ばれます。
これに対して、3月は降るものが雪から雨に変わって雨音が聞こえるようになることから『音の春』と呼ばれることがあります。もっとも、『音の春』のいわれには、地域によっていろいろあります。
春を告げる音には、凍(い)てついた川や滝が融けて流れを取り戻すことで聞こえてくる音、冬眠を終えた動物達の鳴き声、渡り鳥が別れを告げる声など、いろいろありますね。山地ではなだれが頻繁に起こるようになって轟(ごう)音をとどろかせるようになりますが、これもまた、春を告げる音のひとつに数えられます。

オーストリアの作曲家、ヨハン=シュトラウス2世のワルツに「春の声」という曲があります。歌詞が付いていることから、歌曲に分類されることもあります。歌詞には、ヒバリやナイチンゲールの歌声(鳴き声)が聞こえる情景が織り込まれ、春の暖かい様子が描かれています。歌詞からは3月の情景かどうかは分かりませんが、オーストリアでもヒバリの声は春の象徴のひとつなのでしょう。

日本でも西日本からヒバリの初鳴きが観測されてきています。以前、ヒバリの初鳴きを観測している方にお話をうかがったところ、「(ヒバリが)ホバリングをはじめたから、もうすぐ鳴き始めるよ」と教えていただいたことがあります。体長20cm足らずの小さな鳥ですが、遠くにいてもわかるそうです。その方も、やはり初鳴きは待ち遠しいと話して下さいました。

気象分類では3月から5月が春です。逃げ行く2月とともに、厳しい寒さも遠退いて欲しいですね。


執筆者:八鬼