天なびコラム

第2690話

2008年03月09日

ツクシ

昼間の日差しがあたたかく、三寒四温という言葉のなじむ時期がやって きました。
サクラの開花予想が発表されましたが、わが家の近くのサクラの木はま だまだ芽吹きも見せず、開花はまだ遠いようです。

それでも、地面付近には春らしさが育っています。ツクシもそのひと つ。『土筆』と書きますが、その姿は確かに筆のよう。
今も田んぼのあぜ道、里山やその麓(ふもと)などで見かけ ることがありますが、最近はその数が相当減っているように感じます。
それもそのはず、以前は田畑だった所は住宅地に変わり、ため池は埋め られ、土手はコンクリートに。春の訪れとともに感じていた『土の匂 い』は無くなってしまいました。

さて、幼い頃は、近所の池の土手でつんできて、佃煮にしてもらって食 べていましたが、「そうじ」の手間を省けば、ツクシの佃煮はそれほど 難しい料理ではありません。「そうじ」とは、つくしのはかま (節を覆っているサヤ状のもの)を取る作業のこと。はかまをとっ たツクシは、軽くゆでたあと水でさらし、ひとつかみのツクシに対して 大さじ2杯程度のだし汁と醤油、酒、みりんで味付け。そして、 水分がなくなるまで煮付けます。
油で炒め煮にしても良いようです。

昔は渋(しぶ)くて、あまり好きではなかったのですが、今 ではなつかしい味になってしまいました。昔ながらの日本の味のひとつ ですね。


執筆者:八鬼