天なびコラム

第2724話

2008年04月12日

散り際は

先週、西日本から東日本の広い範囲で見頃を迎えていた桜。

今週に入って立て続けに日本付近を通過した低気圧の仕業で、かなり花を落とした所も多いのではないでしょうか?最近では桜の花を散らしてしまう雨や風を「花散らしの雨」「花散らしの風」を呼んでいますよね。今週の2つの低気圧はまさに「花散らし」となってしまいました。(※ちなみに、この「花散らし」という言葉、もともとは別の意味で使われていたそうですよ)

ほんの少し前まで満開に咲き誇っていたと思っていた桜の花が、今見るとなんとも寂しい姿に。。。

でも、考えてみると潔い散り方ですよね。人が理想の人生観を形容する時にしばしば「散り際は潔く」といったように例えますが、桜はそれを体現しているのかもしれませんね。

今の時期、桜並木で稀に強い風に遭遇すると、桜吹雪を目にすることがあります。桜の花びらが一斉に舞い散るその純粋な美しさと、思わぬ出会いが相まって、とても印象に残ります。

この散り際の美しさも、人が自ら生き方として憧れることがあるんですよね。

こうして考えると、やはり桜は日本人の心に深く結びつく象徴なのだなぁとつくづく感じさせられます。

そして最後にもう一つ、桜の花が散り去ったあと、木には新緑の息吹が一杯に顔を覗かせますよね。

たとえ我が身が散ろうとも、木には希望に満ちた未来が生まれます。自分が花びら、木がこの世界と置き換えられるのなら、そんな人生を送ってみたいですね。

執筆者:そら