天なびコラム

第2761話

2008年05月19日

タイフーンハンター

先日、気象庁から台風予報精度向上のための特別観測の実施についての発表がありました。

これはWMO(世界気象機関)が進める国際研究計画の一環として行われるもので、この夏は大規模な観測が予定されています。時代が進むにつれて台風の進路予測の精度が上がってきていますが、台風予報はまだまだ難しい部分もあるようです。

社会的にも大きな影響を及ぼす台風予報ですが、転向点の予測というのが重要なポイントとなっているようです。転向点とは、台風が方向を変える点のことです。北西方向に進んでいた台風が南西諸島付近で北東方向に向きを変えるということはよくありますよね。

さて、台風予報も普通の天気予報と同じく数値予報(コンピューターでの計算)で行われています。数値予報で未来の大気状態を予測するためには、現在の大気状態をできるだけ正しく観測されている必要があります。ですが、台風がやってくる海上は陸上に比べて十分に観測点があるわけではありません。

そこで、この夏の特別観測のメインは、「台風が来たら台風に向かって飛んで行こう計画(私が勝手に名付けました)」です。
ドロップゾンデという気象観測機器で台風周辺のデータを収集します。それによって精度の高い予報に必要な観測データが得られるということです。正確に言いますと、やみくもに台風に向かって飛んでいくのではなく、コンピューターでこの付近の詳細なデータがあれば予測精度が上がるといった部分をはじき出し、そこに向かうところがちょっとミソです。

タイフーンハンターやトルネードハンターの隠れファンの私としては、安全に任務が遂行され、防災に役立てられることを密かに祈っています。


執筆者:のっち