天なびコラム

第2798話

2008年06月25日

ホタルノヒカリ

梅雨時期の生物といえば、アジサイの葉陰に隠れたカタツムリが思い浮かびますが、ホタルが多く飛び交うのもこの梅雨の時期ですね。
ご存知の通り、ホタルはいわゆる「清流地」でなければその姿を見せません。生活廃水の流れる所や農薬の含まれた水辺では生息できないのです。また、コンクリートにおおわれた用水路が増えることによっても生活の場が奪われますので、ホタルの生息地は年々せまくなっています。
まだ(かろうじて)水田の残っている我が家の近所でもホタルの姿が消えて久しく、おそらくその地に戻ってくることはもうないのでしょう...

それでも、日本には40種類以上のホタルが生息していると言われています。ゲンジボタルは九州〜東北の広範囲に、ヘイケボタルはほぼ全国に生息しています。おや、北海道でもゲンジボタルを見かけたよ・・・との声がきこえてきそうですが、北海道においてゲンジボタルは外来種とみられているそうで、本来の生息地ではないのだそうです。また、沖縄では本州などには見られないホタルが多く生息しています。

光を発しながら飛んでいるホタルが初めて観測された日を、ホタルの初見(しょけん)日と呼びます。ホタルの初見日の平年値は、沖縄本島で5月中旬、九州〜四国と中国地方瀬戸内側で5月下旬、中国地方日本海側〜近畿と関東北部で6月上旬、東海〜北陸西部と関東南部で6月中旬、北陸東部と東北南部太平洋側は6月下旬、そして、東北地方の大部分は7月上旬です。今年、最も早くホタルの初見日を迎えたのは那覇で4月15日、次は熊本で5月6日でした。また、今年の傾向として、北陸で平年より2週間程度早く初見日を迎えています。

身近にもホタルがいないか探してみようと思われた方がいらっしゃるかも知れませんが、雨続きで普段より水かさの増している河川が多く、土砂崩れの危険がある地域もありますので、注意してお出かけ下さい。また、ホタル自身は環境の変化を嫌いますので、深追いをしないようにそっと見守ってあげて下さい。


執筆者:八鬼