天なびコラム

第2822話

2008年07月19日

月への一歩

人類が月の大地に最初の一歩を刻んでから40年近く経ちます。最近(と言っても2か月前ですが)になって、37年前に月面着陸した米国アポロ15号の痕跡が、日本の月周回衛星「かぐや」によって発見されましたね。
米国のアポロ計画は1972年のアポロ17号で中止されましたが、『月への憧(あこが)れ』が捨てきれないのか、はたまたそうでないのか、月探査の計画は日米以外にも伊、印、中などの国でなされているそうです。

月には地球のような大気や水がありませんので、いわゆる天気現象と呼ばれるものもありません。35年以上も前の痕跡が残っているのが証拠と言えるでしょうか。
たとえば、強風などの現象があったとすれば、他の地域から運ばれてきた砂や岩石片によって痕跡が隠されてしまうなどするでしょうし、水があれば風化してしまうとも考えられるでしょうから。
仮に、地球に天気現象がなかったとしたら、予報はいつも「晴」。私の仕事は干されてしまいますね... その前に、生存がおびやかされるでしょうけれど。

ところで、1980年代後半になって、月の表面には微量のナトリウムやカリウムの大気(ガス)が存在していると示されるようになりました。資料によれば、微量ではあっても月面から離れるほど濃度が小さくなっているため、「大気」の定義を満たしているとのこと。調べてみるまで月には大気がないと思い込んでいたので、驚きでした。

今の時期はほぼ終夜にわたって月が眺められます。満月を過ぎてしまいましたが、それでも相当な明るさです。
天気が安定しないばかりか気温も高くて、じっくり月を眺めるなんて気がしないかも知れませんが、気が向けば月への思いを馳(は)せてみて下さい。


執筆者:八鬼