天なびコラム

第3872話

2011年06月04日

反射

 梅雨の季節になり、蒸し暑さが増してきましたが、今年はエアコンを気軽に使うことができないのが悩ましいですね。この夏をどうやって乗り切ろうか、節電対策に頭を抱えてしまいます。

 夏場の強い日差しに対して反射しやすい建物があるそうです。それは高反射率塗料を屋根に塗布した建物で、実験では、普通の屋根で表面温度が約60℃になるのに対して、高反射塗料を撒布した屋根では約45℃となるそうです。また、塗料の色も重要で、黒色よりも白色の方が反射しやすく効果があります。つまり、建物の屋根や壁を反射しやすい素材にすることで、日射による熱を遮断し、部屋の温度を上がりにくくすることができます。エアコンの稼働率を下げる効果がありそうですね。

 ふと考えたのですが、全ての建物を高反射率塗料を塗布された屋根にすると、都市の日射の反射率は非常に大きくなるのでは?極端な考え方ですが、これは大気に大きな影響を与えるかもしれません。
 反射された日射の一部は、大気中に含まれる水蒸気や二酸化炭素などによって吸収されます(また、反射された日射の一部は、そのまま宇宙に出て行きます)。吸収された日射のエネルギーによって、大気は暖められます。すなわち、反射率の高い建物ばかりになると、結局は気温を上げるように作用するようになるはずです。都市部のヒートアイランド現象が強化され、夏季の豪雨も多くなる・・・、いえ、極端な話なのであまり飛躍したことは言わないでおきましょう。ただし、反射した日射のエネルギーは無くなるわけではなく、大気に影響を与えるということは確かです。
 この夏を少しでも過ごしやすく、かつ、節電できる対策をとりたいですが、その効果や影響の先まで考える必要があるかもしれませんね。


執筆者:さくら