天なびコラム
第3897話
2011年06月29日
夏の粉レトロ
子供時分、風呂あがりに白い粉末を塗りたくられていたことをおぼろげながら思い出す。
現代のように、風呂を上がれば、エアコンで除湿された部屋、とはいかずあせもができるのが日常茶飯事だった。
それを防ぐために、天花粉(てんかふん)という白い粉を肌一面に塗っていたのだ。
それは、キカラスウリ(天瓜)などウリ科の植物の根からとったデンプンを粉にしたもので、汗の吸収がよいために使われていた。いわゆるベビーパウダーだ。その独特の甘い匂いを今でも覚えている。現在のそれは、成分的には少し違うらしいのだが。
ふと、毎月通う散髪屋で、髪を切る前に塗られる白い粉。それが天花粉かどうかは不明であるが、子供時分の夏を懐かしく思い出す。今夏は、節電対策などで、いつもより汗をかき、あせもができやすい環境ともいえる。
久しぶりに使うことになるかもしれない。
執筆者:仁井