天なびコラム

第3901話

2011年07月03日

太陽の下の紫陽花

6月の後半になって日本海の北部まで梅雨前線が北上。西〜東日本は太平洋高気圧に広く覆われることが多くなりました。真夏と変わりない空気に覆われた各地では気温も上昇。6月24日に埼玉県の熊谷で39.8℃を記録するなど、6月の観測史上の最高気温を塗り替える地点も多々現れました。節電を特に意識しないといけない今年の夏なのに、ちょっと皮肉な感じもしますね。。。

本来なら今はまだ梅雨のど真ん中。どんよりとした雲の下で活き活きとしている紫陽花が、真夏の青空から降り注ぐ太陽の光を浴びて、少し戸惑っているようにも感じます。見てるこちらも不思議な感覚になってしまいますね。

紫陽花(あじさい)は学名「ハイドランジア」で「水の容器」との意味を持つ植物です。日本名の「あじさい」は「真の藍色が集まったもの」という意味合いから生まれた言葉で「集真藍(あずさい)」、それが訛って今の「紫陽花(あじさい)」になったそうです。

ご存知の方も多いと思いますが、紫陽花の特徴である紫色の丸く大きな花に見えている部分は、花びらではなく「萼(がく)」で、本当の花は中心部分の丸い粒のような所になります。

そして、紫陽花の花言葉には「ひたむきな愛情」「元気な女性」といった良いイメージのほかに「移り気」「心変わり」「浮気」なんてものもあります。これは紫陽花の花が開花当初から緑、白、藍と次々と色を変えることから来ているようですね。

確かに、長々と雨が降り続く梅雨空の下でも美しく咲き誇り、人々を心を和ませてくれる紫陽花には、ひたむきで辛抱強い愛情を感じます。それに、その場にいるだけで周囲を明るくしてくれる太陽のような存在である紫陽花は「元気な女性」の印象にも繋がりますね。

薄暗い梅雨空の下、いつも私達に元気をくれている紫陽花なのですから、燦々と照りつける太陽の下、たまには紫陽花自身も明るい気持ちで過ごしてくれるとよいですね。


執筆者:そら