天なびコラム
第4673話
2013年08月13日
猛暑と飛行機
立秋も過ぎて暦の上では秋になりました。目を凝らせば秋らしさが見つかるはずなのですが、昼夜問わず暑いと頭の中が夏で覆われてしまいます。
ところで、以前に航空地方気象台に見学に行ったとき、「今日はスペシャルです」と観測員の方がおっしゃっていたことを思い出しました。季節は夏。最近と同じく、うだるような暑さでした。
気象台では定時観測の他に航空機の離着陸に影響を及ぼしそうな気象条件になったときには「特別観測」を行っています。「特別」だから「スペシャル」なんですね。
飛行機に影響を与えると言えば、風や見通しの良し悪しを思い浮かべるのですが、見学に行ったときは天気は晴で風もそんなに強くない。強い日差しだけが降り注いでいました。
不思議に思い、「今日は何でスペシャルなんですか」と問いかけると「暑いからです」と返事。暑さが飛行機に及ぼす影響っていったい…と考えていると「暑すぎると揚力が小さくなって飛行機が飛べなくなることがあるんですよ」と教えてもらいました。
気温が上がると空気が膨張し、空気密度が小さくなります。そうすると飛行機を持ち上げる揚力も小さくなってしまいます。揚力が小さくなれば重量を減らしたり、滑走路を長くとる必要がありますので、細かく観測する必要が出てくるわけです。
ここ最近は飛行場でも最高気温が35℃を超える猛暑日が続いています。おそらく「スペシャル」が実施され、より細かな観測が行われていることでしょう。
よほどのことがないと「猛暑で欠航」といった事態はないでしょうが、想定外の暑さになったら…。そんな日が来ないことを願っています。
執筆者:西