天なびコラム
第4688話
2013年08月28日
秋の鳴き声
8月も下旬に入り、日本を覆っていた太平洋高気圧も徐々に南下しつつあります。でも、まだ残暑が厳しいところが多く、蝉時雨がその暑さを引き立てます。
さて、その蝉は俳句の季語では夏なのですが、ヒグラシの季語は特別に秋になります。都会ではヒグラシの鳴き声を聞くことは難しいですが、少し郊外に出かけると朝夕に「カナカナカナ・・・」と何とも物哀しい声を聞くことができます。ヒグラシは7月に現れ、特に秋に鳴き始める蝉ではありません。ただ独特の鳴き声は情趣深さをもっとも感じさせる秋にふさわしいと考えて、秋の季語となったそうです。
そして秋の季語になる蝉がもう一種。「ツクツクボウシ」です。代表的な蝉の中では鳴き声が目立ち始めるのがいちばん遅いです。ヒグラシのような物哀しさはありませんが、鳴き声を聞き始めると確かに夏の終わりを感じます。子供の頃はこの声を聞くと「夏休みが終わってしまう。あ〜あ」と残念がったものです。秋の季語になるのもうなずけます。
「暑い夏はもう勘弁」と思いますが、「ツクツクボウシ」を聞くと子供のころの記憶が蘇って少し寂しさを覚えます。みなさんは、いかがですか。
執筆者:西