天なびコラム
第4718話
2013年09月27日
明暗の境界
秋分も過ぎて、「秋の夜長」を実感するようになりました。気象の世界では15〜18時を夕方、18〜24時を夜と表現しますが、実世界では夜と感じる時刻はもう少し早くなりそうです。
ところで、「天高く、馬肥ゆる秋」と言われるように、秋の空は澄んで空が高く見えます。雲ひとつない青空は「爽やか(さわやか)」より「清か(さやか)」の方がふさわしいかもしれません。景色が夏に比べると明瞭に見えますので。
ただ、より印象的に残る風景は夕暮れの山の端。空は赤く輝きますが、それ以外の景色は暗闇に染まっていきます。明と暗の境界が山の端。昼に見える景色よりも魅入られます。清少納言は枕草子の中で「秋は夕暮れ」と一押ししていますが、彼女も同じ思いを抱いたのでしょうか。
夕暮れ時は「おおまがとき(大禍時・逢魔時)」ともいい、大きな災いが起こりがちな時間帯と言われてきました。これも夕闇に魅せられるからかもしれません。美しい風景に出会うことは幸せですが、その美しさに呑みこまれて事故など起こさないように気をつけたいです。
執筆者:西