天なびコラム
第4748話
2013年10月27日
身に入む
10月も下旬。東に過ぎ去った台風が寒気を引き下ろしてきました。晴天の下でも陰に入るとヒンヤリ感じます。
さて、みなさんは秋の冷たい空気を肌で感じると体に入りこんでくるような気がしませんか。そんな様子をあらわした秋の季語に「身に入む(しむ)」があります。「身にしみてわかる」と良く使われるように「痛切に感じる」ことを意味しますが、もとは心身に秋を深く感じ入ることを指します。
紅葉を見れば目を、栗や柿を味わえば舌を通して秋が心の中に入ってきますが、少し肌寒く感じる晩秋の空気は肌を通じて心身に入ってきます。同じような気温でも気が体から発散する春と大きく違うところです。冷たい空気が身に入むことで心が「凛」とすることは気持ちが良いですが、あまりしみ込ませると体の中から寒気(さむけ)に襲われます。体調を壊さない程度に秋を楽しみましょう。
執筆者:西