天なびコラム

第4778話

2013年11月26日

落ち葉の役目

11月も下旬になりました。今日の天気図を見ると典型的な冬型の気圧配置になっています。
さて、この気圧配置になると吹くのが木枯らし。もとは木の葉を落としてしまう風を意味します。木にとっては酷な風のようにも思われますが落葉樹にとっては好都合です。寒くなり、日も短くなると光合成によるエネルギー生産量が減少します。厳しい冬を生き延びるためにはエネルギー生産をしなくなった葉は早く落としてしまいたいところ。そこで一役買ってくれるのが木枯らしなのです。
ところで、落ち葉も決して木に「捨てられた」わけではなく、分解されて養分となり、春には新芽として生まれ変わります。つまり人には「木枯らし」と見えても、木にとっては「木生かし」というわけです。木は気象を何百年もうまく利用してきた戦略家。気象に携わる者として「偉大な先輩」から学ぶことは多くありそうです。

執筆者:西