天なびコラム
第4980話
2014年06月16日
湿った風と大雨
地球を覆う大気の移動を、私たちは風と呼んでいます。
風と言ってもそのスケールは幅広く、うちわや扇風機などの小さな風から、地球をぐるりと回る偏西風や太平洋高気圧から吹き出すスケールの大きな風もあります。
この風という大気の移動は様々なものを輸送します。
例えば黄砂やPM2.5、桜吹雪など比較的可視化しやすいものや、においや水蒸気、熱など直接見えないものも運ばれます。
梅雨の時期の日本付近で気になる風は、亜熱帯を起源とする南よりの「暖かく湿った風」です。
この風のポイントは、日本付近へ来るまでに海面からたっぷりと水蒸気が供給され、その水蒸気が非常に長い距離を輸送される点です。
この直接見ることができない「暖かく湿った風」は梅雨前線や山地などによって上昇気流となり、雨雲が発生します。
雨雲は大気が湿っていればいるほど発達し、局地的に強い雨を降らせます。
そして陸地で降った雨は、時として濁流となって川を下り、海へ戻っていきます。
梅雨前線の活動はこれから本格化し、大雨などのおそれが高まります。もし天気予報で「暖かく湿った風」について解説をしていたら、その風の向かう所は大雨などに注意・警戒が必要です。
執筆者:Shin