天なびコラム
第5002話
2014年07月08日
名前に惑わされないように
台風第8号が北上し日本に近づいています。予断を許さない状況です。
ところで、日本では台風を「番号」で呼ぶのが一般的ですが、それぞれ名前もついています。アジア各国とアメリカで構成される「台風委員会」が命名しているのです。用意された名前は140個。台風は1年に約26個発生するので、だいたい5年で一巡します。
ただ台風の中でも大きな災害をもたらしたものは、その災害をもたらした台風固有のものとなり、今後使用されないようになります。そんな台風のひとつが「ワシ」。2011年12月に発生した台風21号が「WASHI」でフィリピンに大きな災害をもたらしました。
この台風は日本が命名したものです。日本は星座名を使って台風の名前をつけていますので、「ワシ座」が由来です。この「ワシ」の代わりに新たに加わった台風の名前が「ハト」です。
「ワシ」は強いイメージがあり、また星座としても有名です(主星のアルタイルは七夕の「彦星」)。一方で「ハト」はそんなに強いイメージはなく、星座としても目立ちません。さらに、この星座のハトは「ノアの方舟」伝説の中で、大洪水が収まったことを知らせる使者として描かれているので、嵐そのものの台風の名前には何だかそぐわない感じがします。
命名について何か考えがあったのかを気象庁に問合せてみましたが、「星座名の中から選んだということだけです」との回答でした。台風を比喩するような意味はないそうです。確かに他の国が命名した台風をあらためて見てみるとプリンを意味する「Bebinca・バビンカ」(マカオ)や果物のマンゴスチンを意味する「Mangkhut・マンクット」(タイ)など嵐のイメージとはかけ離れた名前も目立ちます。名前に惑わされてはダメということですね。
現在接近中の台風8号の名前は「Neoguri(ノグリー)」。韓国が命名しており、「タヌキ」を意味します。こちらも何だか拍子抜けですが、そんな名前に化かされないように今後の情報に十分ご留意ください。
執筆者:西