天なびコラム

第5533話

2015年12月21日

羊雲ときんと雲

12月も下旬。これからクリスマス、そして年末年始と大きなイベントが続くこともあって、世の中の雰囲気が師走らしくそわそわしています。
今年は羊年。気象の世界で羊といえば「羊雲」があります。もこもことした塊状の雲が群れをなして空に広がる様子が羊の群れに似ていることから名づけられました。専門用語では「高積雲」に分類されます。この雲がだんだん厚くなり、おぼろ雲になってくるといよいよ天気が崩れます。「ひつじ雲が出ると翌日雨」といったことわざもありますよね(実際には必ず降るわけではありませんが)。空に浮かぶ羊たちは、空模様から天気を予測する観天望気には欠かせない存在です。
さて、来年は申年。サルと雲のつながりで想像できるのは「きんと雲」。西遊記に出てくる孫悟空が自由に操る雲です。ちなみに「きんと」は宙返りのことで、悟空が宙返りをしてこの雲に乗ったことが由来です。きんと雲は秒速6万kmで飛んでいくそうなので、実際にあったとしてもどうやら羊雲のように落ち着いて眺めることは難しいです。
ところで、「サル」は「去る」と掛けられて「素早く去ってしまう」ことの例えにされることが多いです。時の流れに取り残されるのは不安ですが、きんと雲についていくのは無理そう。羊を追いかけるのさえ息も絶え絶えでしたので・・・。年が変わってもペースを守った生活を送りたいものです。

執筆者:西